年頭の挨拶
2021年は「宇宙旅行元年」だったと言われています。特に三社の造った宇宙船は、人を宇宙まで運びました。バージン・ギャラクティック社、ブルー・オリジン社およびスペースX社の輸送機で、計29人が無事に宇宙へ行って来ました。とても良い成果でした。そしてこれは、宇宙産業の商業化へのパラダイム・シフトに、大いに貢献しました。
もう一つの良い結果はメディアの反応でした。宇宙旅行は「お金持ちの遊びだけ」とか「資源の無駄」、「馬鹿やろう」等の文句を言うより、「面白い」とか「行きたいな」、「やはり、時代の流れだよ」等の、支持しているコメントを流しました。航空産業の最初のフェーズのように、最初の乗客はお金持ちですが、若い世代はこれから乗れると理解することができます。SSTJには、今年宇宙旅行サービスが成功し続けて、どんどん拡大すれば最高になるでしょう。
ただし、問題がない訳ではない。軌道までの旅行の費用が数十億円なので、とりあえず最初にサブ・オービタル型宇宙旅行サービスを実現することは良い目標でしょう。このために日本で、誰でもサブ・オービタル用宇宙船に乗れるサービスの実現を狙いましょう。既に日本国内で、水平離着陸機のスペースプレーン・プロジェクトも、垂直離着陸機のロケット・プロジェクトもあります。このプロジェクトの両方が低価格のサービスで成功するように、支援すれば良いでしょう。
20世紀に政府の投資のお蔭で、日本人の皆がプラネタリウムへ行って楽しむことができました。これから宇宙旅行は、「21世紀のプラネタリウム」のように、誰でも乗れるサービスとして時代に合うでしょう。第一フェーズのサブ・オービタルの後は、軌道までの旅客機サービスの準備も始める時期になります。第三フェーズは月面旅行。これはまだ数十年先でも、世界中の準備は開始されています。米国やロシア、中国、欧州、インド等は、月面での基地と経済活動を計画中です。日本でもトヨタとホンダは既に、JAXAと一緒に月面用クルーザーおよび水素燃料システムを開発しています。
こういう活動は宇宙産業の一番大きいビジネス・チャンスだけではなく、同時に経済成長に大いに貢献します。政府は、長い間低迷している日本経済の再生のために、「大胆な政策」の必要があると述べています。是非、宇宙旅行が航空産業のように大きく成長して、新しい基幹産業になるように支援して欲しい。そうすればその結果は、子供達に明るい将来像を見せて、人類の未来はとてもエキサイティングで楽しいものだと教えるでしょう。
宇宙旅行協会 会長
パトリック コリンズ